※本インタビュー記事は2018年に執筆されました

カンボジアの首都プノンペンの大規模な土地開発の際に強制移住を強いられた子供たちを支援するNGOの、教育で貧困を解決するという強い信念を取材しました。

子供達の教育方針について熱心にミーティングをするNGOのメンバー。
発言しているのがNGO代表レイモンド氏

「子供たちが笑っていられるのは、今の自分たちが置かれている環境を理解していないからです。将来大きくなっても笑顔でいられるように、私達は、子供たちをサポートします」と語るのは、子供の教育支援を行うNGO代表のレイモンドさん。

発展の裏側にある現実

首都プノンペンでは、大規模な土地開発が進んでいます。レイモンドさんが代表を務めるNGOが支援するのは、プノンペン南部で大規模な土地開発の際に強制移住を強いられた子供たちです。

この土地開発で、多くの人はプノンペン郊外にあるアンドン村での生活を余儀なくされました。レイモンドさんが初めてアンドン村を訪れた時は衝撃的だったといいます。

アンドン村の様子

ゴミの上に木をつぎはぎして造られた隙間だらけの家、昼間から漂うお酒の匂い、ギャンブルに盛り上がる大人の声。

そんな中を裸足で駆け回る子供たちを見てレイモンドさんは、「この子供たちに明るい将来を送ってほしい」と願い教育系NGOを設立し、当時3歳の子供たち27人を大学卒業するまで支援することを決意しました。

NGOを立ち上げる以前に、ボランティア活動を行ってきた経験から、最終的に「貧困を解決できるのは教育だけ」だと確信をもっていたからでした。

NGOメンバーのバナックさんから、お母さん向けに、「家で子供の自習をサポートする方法」についてのワークショップの様子。

このNGOの特徴は「親と子の 2 軸」 で教育支援を行っていることです。

仮に子供たちがが学校にいる時間を1日5時間とすると、家にいる時間は1日19時間。家族といる時間の方が圧倒的に長いです。その中で、親の協力なしには子供たちを変えることはできないと考え、NGOでは子供にクメール語(国語)と英語、挨拶やマナーなどの道徳を教えるだけでなく、親に対しても毎週保護者ミーティングを行い教育の重要性や、教育の仕方などを教えています。

今も残る内戦の爪痕

親への支援も行う背景に、カンボジアでは内戦時代に知識人が大虐殺されてから教育という概念は無くなりました。今の親世代(40代以上)の方々は、自分が子供だったころは勉強など一切せず働くのが当たり前だったので今も自分の子供に対して「子供は親に連れられて働くもの」という考えが強く根付いています。

保護者ミーティングの様子

初めは教育に対して理解を得るのが難しかった保護者の方々も、子供たちの変化を目の当たりにして徐々に考え方が変化しました。 設立以来、毎週行っている保護者ミーティングも初めは1人しか参加していませんでしたが、設立から3ヶ月たった頃には保護者全員が参加していました。

また、支援を始めた当初は3歳だった子供たちも今は9歳になり、クメール語の読み書きもできなかった子供たちが今では、英語で少し会話ができるまでに成長しています。 彼らの変化を見ると、NGOの存在は非常に大きいです。

小学3年生の子供たちが大学卒業まで勉強を続けられるように、NGOでは寄付、スタディーツアー、協業を募集してます!


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これまで、東南アジア企業と日本企業との業務提携や、エシカルブランドの立ち上げ、輸出入取引など様々な協働を成功へとサポートしてまいりました。
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