※本インタビュー記事は2018年に執筆されました

「僕たちはみんな地方出身で、きれいな水にありつけなかった。だから、村の人たちに安全な水を届ける使命がある」と、カンボジアで水道事業会社を立ち上げたローさん、チャンリさんの熱い思いに迫る。

代表 ローさん(写真左)
カンボジアバンテアイミンチェイ州の村出身。Institute of Technology of Cambodia(大学)を卒業後、Water Managementを学ぶためフランスの大学院に入学。
留学先のフランスで、村に飲料水を提供するNGO「1001 fontaines」を創業、カンボジア支部を立ち上げた後、水道事業会社を起業。

業務部長 チャンリさん(写真右)
カンボジアバンテアイミンチェイ州の村出身。
大学を卒業後、ローさん率いる安全な水を届けるプロジェクト「Teuk Saat 1001」に勤務後、水道事業会社に参画。
勤務期間中、リエージュ大学で農村経済と社会学を学び修士号取得。

教育を受けて、初めて、僕たちの病気は、水のせいだったと気づいた。

生活のための水を汲みに行く女性。水汲みは女性の仕事とされている。

ロー:大学へ行って、初めて気付いたんだ。
僕が生まれた村で起きた、腸チフスや下痢、感染症などの健康被害は、汚染された水のせいだったんだと。水道がなかった僕たちの村では、湖や溜池から汚染された水を、生活用水として利用していたんだ。
だから、どうにかしなければと思ったんだ。

チャンリ:私も、子供のころ腸チフスという病気にかかりました。
きれいな水にアクセスできず、湖から直接水を飲んでいたためです。
私だけじゃないです、多くの子供が病気になっていたんです。村の人たちはこれらの病気が汚染された水が原因だと気付いていませんでした。
ローも私も、バンテアイミンチェイ州にある小さな村出身です。
ローは、村で初めて奨学金をもらって大学に行った人物で、村のヒーローでした。彼が水問題に取り組んでいたことから、一緒に安全な水を村に届けることにチャレンジしたいと思ったのです。

会社のチームメンバーは7名いますが、みんな地方の村出身です。村出身できれいな水にありつけなかったという私たちの原体験が、今の私たちを動かし、必ずや村の人々に安全な水を届けるという使命のもとに活動しています。

チームメンバーが皆、電気やエンジニアリング担当、経営担当など、それぞれの専門性を生かして、チームで会社を動かしています。
それぞれの専門性を発揮することで、レベルの高い開発がすすめられ、弊社では、他の水道会社よりも質の高い水を提供できています。

ロー:ぼくらの目的は、お金儲けじゃないんだ。
ぼくらの目標はね、とにかく、カンボジア中の人が、きれいな水にアクセスできるようになることなんだよ。
通常、水道インフラは、政府の役割とされている国が多いけど、

この国では、水の課題よりも優先される問題がたくさんあり、政府もまだ水道整備に手を回せるほどの余裕がないんだ。
しかも、業界自体が儲からないとされているから、水ビジネスに大きな投資が入ってこれない。

カンボジアに民間の水道会社は合計400以上も存在するけど、ほとんどが家族経営で、スモールビジネスをしている。
それは限られた地域だけで、例えば、プノンペンやシェムリアップ、大きな国道沿い、そして州都のような、人が集まっている場所だけなんだ。
ほとんどの会社が水道を引くための施設をコンクリートで作っていて、
田舎だと、設備投入をすることが困難であるため、地方には水道設備がつくられていない現状だ。
この現状解決は、僕の使命であり、任務だと思ったよ。

僕たちの水道事業は、辺境にある貧困地域に特化することに決めた。
そして、僕たちは発明したんだ、ステンレスで作られた水処理設備をね。

ステンレス製なので、安価でつくることができ、かつ、現場で作らないといけないコンクリート製のものと違って、僻地まで運べるんだ。


村の人のBIG SMILEを見た時、僕たちがやってきたことの正しさを実感したんだ。

ロー:実際に、貧困地域での水道設備が整って、水道が使えるようになった時、村の人たちは、BIG SMILEを浮かべていたんだ。
あの笑顔を見た瞬間、僕たちがやってきたことの正しさを実感したよ。
そして、もっともっと広げなきゃって思った。

だから僕たちのこれらの目標は、5年以内に、新しく10ヵ所で水処理施設をつくること。今活動しているバッタンバン州以外に、バンテアイミンチェイ州、プールサット州を最初の拠点にする予定だよ。

僕らは、もっともっとたくさんの人々をきれいな水にアクセスできるように、サポートしなきゃいけない。
水が原因で起こる問題を、解決しなきゃいけない。

そして、水処理場1箇所当たり3〜4人の雇用もつくれる。僕たちは村に雇用もつくっていく。

水は命、水は教育、水は経済活動、そして水は、人権。

ロー:Water is life, water is educations, water is economic and water is human right.(水は命、水は教育、水は経済活動、そして水は、人権。)

水は人権だ。みんなに平等に与えられているんだよ。子どもにも、大人にも、お年寄りにも、みんなにね。
そして、水は教育だ。子供たちが安全な水に触れて健康であれば、彼らは元気に学校に行き教育を受けることができる。

汚い水を日々使うことで、病気にかかるでしょう?そして、病気にかかれば医療費が生じる。水が安全になるだけで、この負の連鎖から脱することができる!
子どもたちは、病気を心配することなく思いっきり水浴びができて、母親たちは、遠くまで歩き、溜池の水を汲みに行く必要がなくなるんだよ。

チャンリ: 私たちは、今後もっとたくさんの家族に、もっと多くの地域で安全な水を提供したいと考えているため、日本から学びたいことがたくさんあるんです!
日本は水処理に関して、素晴らしいテクノロジーを持っていると知っています。私たちは、日本の人からのアイディアやアドバイス、そして私たちのビジネスに興味をもっていただける方々からのご連絡もお待ちしてます!


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これまで、東南アジア企業と日本企業との業務提携や、エシカルブランドの立ち上げ、輸出入取引など様々な協働を成功へとサポートしてまいりました。
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